現役家電店員が教える失敗しない家電の買い方

後で後悔しない家電の買い方を説明します。ネットで購入する場合にも役立つはずです。

家電量販店の地域別勢力と使い分け

家電量販店の現状

最近は、ネットにシェアを奪われてきている状況はありますが、まだまだ家電流通では、家電量販店のシェアが圧倒的です。
昨年時点での家電量販店のシェアは6割〜7割くらいです。

ちなみにアマゾンなどのネット専業で2割強。家電量販店のネット販売を合わせたネット販売シェアは3割前後だと予測されます。

地域ごとに異なる家電量販店

他の小売業界でもあることですが、家電量販店は、地域によって、シェアの高い店が大きく異なります。
自分の住む地域でどの企業のシェアが高いのかを知ることは、家電購入の際に役立ちます。
地域でのシェアによって販売スタンスが異なるからです。

それでは地域別の動向を解説していきます。
都道府県や市町村単位で多少、異なってきますが、大まかな傾向として認識してください。

北海道

基本的には、ヤマダ電機が圧倒的にシェアが高い状況です。
土地の広大な北海道では、ベスト電器を買収したことによる店舗網が大きな武器です。

ただし北海道は広いため、地域によって大きな違いがあります。

北海道の需要の大半を占める札幌においては、ヨドバシカメラビックカメラの駅前量販店が大きな存在感を発揮しています。
これにヤマダ電機ケーズデンキが加わって争っている状況です。

地方都市になると、ヤマダ電機ケーズデンキの二社に、100満ボルトというローカルの量販店が加わって、三つ巴の争いです。

東北

基本的にケーズデンキの牙城です。
これにヤマダ電機が挑むという二強状態になっていますが、ヤマダ電機の競争力低下により無風に近い状況です。

一部地域にはコジマもありますが、上記の二社からは引き離された状況です。

また仙台駅周辺については、ヨドバシカメラもありますが、現時点では、さほど大きなシェアはとっていません。
ただし、ヨドバシカメラは、仙台駅前に商業ビルを建設中のため、開業後は状況が変わるかもしれません。

北関東

ヤマダ電機が頭一歩抜けてはいますが、かつてYKKと呼ばれたヤマダ、ケーズデンキ、コジマの三つ巴の争いです。

コジマが一時低迷しましたが、ビックカメラ傘下で立ち直り再び勢いが出てきています。

ヤマダ電機は、他の地域では競争力の低下が感じられますが、本社から近いこともあり、この地域では、あまり下がっていません。

東京都心

やはりメディアには、この東京都心の家電量販店のイメージが一番強いのだろうと思います。

一番手はヨドバシカメラです。 秋葉原、新宿西口という1000億クラスの売上の2店が突出しており、圧倒的な存在感があります。
ちなみにヨドバシカメラのこの2店舗と大阪の梅田が家電量販店の中での売上トップ3の店舗だと思われます。

二番手はビックカメラです。
池袋、有楽町、新宿、渋谷とヨドバシカメラの上記2店舗よりは小規模ながらバランスのいい店舗配置と売上構成で、近年はヨドバシカメラよりも勢いを感じます。
出店意欲も旺盛なので、近い将来、入れ替わる可能性が高いと思います。

三番手は上記二社からは突き放された感のあるヤマダ電機です。
最近は迷走気味で、差がどんどん大きくなっているように思います。

南関東

ヤマダ電機のシェアが非常に高い地域です。 それに対して、コジマやノジマなどが、挑むという状況になっています。

その他の量販店も多く出店しており、非常に競争の激しい地域です。

中部

ヤマダ電機エディオンが拮抗した地域です。
東に行くほどヤマダ電機が強く、西に行くほどエディオンが強くなります。
ただヤマダ電機の競争力低下で、エディオンが優勢になりつつあります。

三番手でケーズデンキがありますが、上記二社とは差がある状況です。

近年、名古屋では、駅前のビックカメラと繁華街のヨドバシカメラ出店により、状況に少し変化もでてきています。

関西

ジョーシンが頭一歩抜けでています。
阪神タイガースのスポンサーをするなど、関西密着のイメージが功を奏しているのだと思います。

二番手はエディオンです。
エディオンは近年、関西での出店が多く、ジョーシンに迫っています。

三番手はヤマダ電機です。
近年、関西でもシェアが低下してきています。

ただし関西で存在感の高いのは、上記三社のいずれでもなく、ヨドバシカメラの梅田です。
ヨドバシカメラでナンバーワンの売上を誇るこの店はおそらく世界最大の売上の家電量販店です。

2001年にオープンしてから、このたった1店舗が関西に本社がある多くの量販店を破綻に追い込み、ジョーシンを一時、破綻の瀬戸際まで追い詰めました。
また現在、ヨドバシカメラは隣に新たなビルを建設中です。
このビルが開業するとふたたび大きな影響を与えるかもしれません。

中国

エディオンの一強状態です。 これにヤマダ電機が挑むという状況ですが、シェアを伸ばせていません。

ただ近年、ケーズデンキジョーシンが相次いで出店しており、無風に近い東北、四国、九州とは状況が変わりつつあります。

四国

ヤマダ電機の一強状態です。
瀬戸内側の東側ではケーズデンキ、西側ではエディオンが対抗の一番手ですが、ひっくり返りそうにない差があります。

九州

四国と同じくヤマダ電機の一強状態です。
二番手をエディオンケーズデンキが争っています。
四国と同様、ひっくり返りそうにない差があります。

使い分けはどうすればいいか

地域別の状況はいかがでしたでしょうか?
ヤマダ電機は会社としては、家電量販店内で圧倒的ですが、地域別では二番手以下のことも多いです。

またヤマダ電機ヨドバシカメラビックカメラの三社で比較されることが多いですが、この三社で争っているのは東京と大都市のみになります。

では上記を踏まえて使い分けはどうすればいいでしょうか?

一番シェアの高い店には、メーカーの支援も手厚くなり、品薄の商品も手に入りやすくなります。 企業側の期待も高いため、優秀な販売員が多く、接客レベルが比較的高いことが多いです。
ただし値引きについては渋くなりがちです。

二番手の店は、何とか一番を獲りたいため、一番手の店に対して対抗心が強く、一番手の店を引き合いに出せば、値引きやそのほかのサービスに応じてくれやすくなります。

三番手以下の店は、売上確保が厳しいことが多く、台数限定の特価商品などで、売上を作りに行くことが多くなります。
したがってこうした台数限定の商品が狙い目となってきます。
また売上が欲しいため、値引きもかなり対応してくれると思います。
三番手以下の店では、人員が削られているため、接客面等ではあまり期待できず、商品の入荷も売上の高い店が優先されがちですので入荷が遅かったり、品揃えも見劣りすることがあります。

家電量販店で購入する場合は、地域での立ち位置も踏まえた上で検討することが重要です。