現役家電店員が教える失敗しない家電の買い方

後で後悔しない家電の買い方を説明します。ネットで購入する場合にも役立つはずです。

復活しつつある真ん中野菜室の冷蔵庫

なぜ真ん中野菜室冷蔵庫が減ったのか

10年以上前、400L以上の冷蔵庫といえば、真ん中野菜室が主流でした。
これが10年ほど前に店頭から、一斉に姿を消していきました。

多くの人にとって、冷蔵室のすぐ下にある方が使いやすいと思いますが、店頭から姿を消したことにはある理由があります。

その理由は、省エネ基準です。

大きな影響を与えた省エネ基準

2009年に家電メーカーには、省エネ基準の達成が事実上、義務化されました。
未達成の場合、メーカーは経済産業省に改善対策の報告をすることになっています。

冷蔵庫の場合、この省エネ基準の達成に、野菜室などの配置場所が大きく影響します。
一番大きいのは、冷凍ユニットとの位置関係になります。

この省エネ基準の達成のため、各メーカーは、消費者向けには、ライフスタイルの変化だのうんぬんと理由をつけて、野菜室の配置を変更したのです。
一時期流行った切り替えルームが姿を消したのも同じ理由です。

東芝だけが継続した真ん中野菜室

さて各メーカーが真ん中野菜室をやめた中で、東芝だけが、真ん中野菜室を販売し続けていました。
これは、東芝が技術力があったというよりは、他のメーカーがコストを優先したということだと思います。

大容量の冷蔵庫については、他の家電メーカーが日本国内で生産を続けており、同じように真ん中野菜室の冷蔵庫を生産すると、中国で生産していた東芝と大きな価格差が生じてしまうからです。

逆に東芝は、中国生産のコスト競争力を活かして真ん中野菜室を続け、冷蔵庫で3割近いシェアを獲得することに成功しました。

増えてきた真ん中野菜室

さてそんな状況がようやく変わりつつあります。

冷蔵庫で東芝は、真ん中野菜室が欲しい人が他に選択肢がないから買うという立ち位置です。
中国の美的集団に売却されて、東芝からの名義貸し状態になってからは、販売員側も気持ち的におすすめしにくい状態にもなっています。

そんな中で三菱が昨年春に真ん中野菜室を復活させました。
最近は、やや日立に押され気味な雰囲気はありますが、昔からの家電業界の人間にとっては、冷蔵庫では三菱がトップブランドです。

そして今年、冷蔵庫でトップシェアの日立からフラッグシップモデルとして「ぴったりセレクト」という野菜室と冷凍室の切り替えができる商品が発売されます。
日立のこれまでの最大の特徴だった真空チルドを捨て去ってまで投入してきたということで意気込みを感じる商品です。

KX・KWタイプ : 冷蔵庫 : 日立の家電品

エコポイントからの買い替え時期に突入して需要が伸びている冷蔵庫市場で、ユーザー側の要望が強い真ん中野菜室は、今後も増えてくると思います。