ドコモahamoが開けたパンドラの箱
衝撃だったドコモのahamo
すでに大きなニュースになっていますので、内容も知れ渡っていますが、ドコモの新プランahamoは格安と言っていい料金です。
auやソフトバンクのサブブランドであるUQモバイルやYモバイルと比較しても安い料金となっており、業界的な常識からするとありえないプランになっています。
ただこのプランには大きなポイントがいくつかあります。
- 手続きはオンラインのみ
- 当初はMNP手続きで行う
- メールアドレスはなし
そしてそれこそが格安な料金を実現できた理由であり、これまで出来なかった理由の一端でもあると思います。
格安の料金が実現できた理由
さて以前に携帯料金が下がらない理由という記事を書きました。
キャリアショップには、ドコモ直営の店はほとんどなく、資本関係の全くない運営会社が運営しています。
今回、契約はキャリアショップではできず、オンラインのみとしたこと、そして手続きはMNPに準じていることからすると、それはつまり手続きに関する手数料のみならず、毎月の通話料から支払っている継続手数料をキャリアショップに払わないということです。
今回のプランの料金は、おそらくドコモ自体が利益を削って値下げしたということではなく、キャリアショップに支払う手数料をなくすことで実現したということであり、自分達の利益を減らすつもりはないと思います。
ちなみにキャリアショップを通さない法人契約の場合、実際に今回のahamoより安い契約はざらにあります。
キャリアショップの淘汰が始まる
上記記事に書いたとおり、キャリアショップの収入は主に各種の手続きの手数料と人件費の補填、そして一番大きな継続手数料です。
単純に言えば手続きの手数料と人件費補填で経費をある程度賄って、足りない分と利益を継続手数料で出すという構造ですので、継続手数料なしで利益の出るキャリアショップはまずありません。
ちなみ端末の販売自体に利益はなくむしろマイナスです。(手続きの手数料で賄います)
つまり今回のプランに乗り換える顧客が多ければ、継続手数料の減少で多くのキャリアショップが赤字になります。
オンライン契約できない人だけを対象に商売すればいいと思うかもしれませんが、おそらく数割の人が乗り換えただけで、キャリアショップは壊滅に近い状況になると思います。
キャリアショップの売上は3兆円程度あると思われる巨大市場ですので、仮にキャリアショップがなくなった場合の各方面への影響は大きなものになります。
キャリアショップの成り立ち
そもそも携帯キャリアショップが現状のような状況になっている理由を少し説明します。
ドコモなどのキャリアは事業立ち上げ当初、大手の商社などをパートナーとして販売会社を作らせ、販売エリアを各社に割り当ててキャリアショップを出店させ、通信費から継続手数料を還元することで出店費用を回収させるというビジネスモデルを作ったことに要因があります。
キャリアショップに通信費から還元するのをやめるのはパートナー企業を裏切る行為なので決断するのは難しいことだったと思います。
そういえばと思って、現在のキャリアショップ運営会社を調べてみると、事業開始当初のパートナーで残っているのは、伊藤忠商事と住友商事くらいで、三菱商事、三井物産、双日、パナソニック、NEC、日立などは事業を売却していました。
以前にドコモがキャリアショップ運営会社に再編を促しているという噂を聞いたことがありました。
もしかすると立ち上げ時のパートナーが売却するのを待っていたのかもしれません。
auとソフトバンクはどうするか
キャリアショップ外しというドコモの戦略が明らかになった以上、auとソフトバンクがドコモに料金で対抗するには、同様にオンライン専用ブランドで対抗するしかありません。
YモバイルやUQモバイルのオンライン化という方法もありますが、ソフトバンクはキャリアショップをソフトバンクとYモバイルのダブルブランド化してきており、その成功を見たauもキャリアショップのUQモバイルとのダブルブランド化をスタートしたばかりの状況です。
YモバイルとUQモバイルではキャリアショップを外すことは難しいと思われるため、将来的にはどちらもオンライン専用ブランドを作るしかないのではないかと思います。
(12/24追記)ソフトバンクがLINEモバイルで同様のプランを発表しましたね。お分かりだと思いますが、ブランドがLINEモバイルなのは、キャリアショップを持っていないからです。
いずれにしてもドコモが決断した以上、この流れは変わることはないと思いますので、キャリアショップに頼らなくてすむように知識をつけていくしかなさそうです。