戦略を転換しつつある携帯キャリア
密かに始まっているスマホの駆け込み需要
3月になり、年間でスマホの最大需要期に突入しました。
携帯キャリアは、表面上、例年通りに学割キャンペーンなどを前面に出して販促を行なっています。
しかし各キャリアのキャンペーン自体は、実態としては、例年よりも控えめなものになっています。
そうなると販売台数は減少しそうなものですが、実際には、昨年より数割増しでスマホが売れています。
これは駆け込み需要が始まっているということです。
迫る分離プランの義務化
さて以前にも一度書きましたが、もちろん消費税の駆け込みではありません。
先週ついに携帯の分離プランを義務化する法案が国会に提出されました。
これに関して大きな反対の声は聞こえてこないため、すんなり成立すると思われます。
まだキャリア各社が分離プランでない現行プランをいつまで受け付けるのか公表していませんので、はっきりとしたことが言えませんが、早ければ数ヶ月以内に受け付けを終了する可能性があります。
(もしかすると秋のiPhoneまで引き延ばすかもしれませんが)
そして最後の春商戦である今月にその駆け込み需要が発生しているのです。
期待できない分離プラン
分離プランについては、実はすでにauとソフトバンクはそれに相当するプランを導入していますが、各社の発言内容からは、現在導入しているプランから大きく値下げするつもりはなさそうです。
- KDDI高橋社長、ドコモが導入する「分離プラン」に対抗する考えを改めて説明 | マイナビニュース
- “分離プラン”を求める総務省の「緊急提言」に困惑--携帯大手3社の決算を読み解く - CNET Japan
現在、すでに導入されているプランと変わらないのであれば、iPhoneなどでは、明らかに大幅な値上げになります。
携帯キャリアの主戦場が変わる
さてiPhoneが売れなくなるということが、ほぼ確実な状況になっていますが、今月のキャンペーンが控えめなところからみても、さほどキャリアに焦りの色は窺えません。
一方で最近、スマホ関連で話題になっているのがPAYPAYなどのQRコード決済です。
そして、どうやらここに大きなヒントがあるようです。
PAYPAYは、ご存知の通りソフトバンクグループです。
現在、1回目ほどのインパクトはありませんが、2回目の100億円キャンペーンを開催中で、CMを大量に投下しています。
そしてPAYPAY同様に現在、大規模なキャンペーンを展開しているのが、d払いです。
これはドコモが展開するQRコード決済ですが、最近、dポイントとともに急速に加盟店を拡大しています。
噂では社長自らが乗り出してトップ営業で加盟店開拓を行っている模様です。
auについては、まだ大きな動きはありませんが、4月より楽天などと提携し、au PAYをスタートすることになっています。
つまり今後はQRコード決済で3キャリアが競争を繰り広げることになりそうです。
何のためのQRコード決済なのか
さてこうした動きは携帯キャリアが、店頭などでの決済を通して手数料を得ようとするものだと考えるのが合理的ではあります。
しかし、それだけであれば、現在のPAYPAYやd払いのキャンペーンは、費用的に見合わないものです。
考えられる目的として、携帯キャリアは金融機関を目指しているということなのだと思います。
決して突飛な話ではなく、海外にはソフトバンクが提携しているアリペイやペイパルと提携したM-PESAなど先行している事例が数多くあります。
数千万人の加入者を抱えているというのは、それだけで大きなアドバンテージです。
今は巨大な金融機関が誕生しようとしている瞬間なのかもしれません。