現役家電店員が教える失敗しない家電の買い方

後で後悔しない家電の買い方を説明します。ネットで購入する場合にも役立つはずです。

ドラム型洗濯機のメリットとデメリット

洗濯機売り場の中心にあるドラム型

だいぶ言葉として浸透はしていると思いますが、ドラム型洗濯機とは、洗濯槽が横向きについており、前面から衣類を出し入れする洗濯機です。

ドラム型洗濯機は、家電量販店の洗濯機売り場では、もっとも目立つ位置に展示され、洗濯機売り場の半分近くを占有しています。

さてそうしたドラム型洗濯機ですが、販売における構成比は実はさほど高くないのをご存じでしょうか?

シェアの上がらないドラム型

ドラム型ですが、販売シェアは、実は業界平均で1割強しかありません。

今はない三洋電機が15年ほど前に本格投入し、他のメーカーが次々と追随し、今やほぼ全てのメーカーがドラム型を販売しています。

そして家電量販店の売り場のメインをドラム型が占めている現状からすると、未だドラム型のシェアがこの程度しかないというのは、市場のニーズとのギャップがあると考えるのが最も納得いく理由ではないかと思います。

節水効果の高いドラム型

実はドラム型というのは、欧米では主流の洗濯機です。
日本のように上位モデルがドラム型というわけではなく、通常のモデルがドラム型です。

さてなぜ欧米でドラム型が主流かというと、水が貴重な海外では、縦型洗濯機のように大量の水を利用して洗うということが出来ないからです。

つまりドラム型洗濯機の最大の特徴は節水なのです。
エコが叫ばれる昨今において、洗濯機の上位機種がどれもドラム型なのは、その節水の訴求力が理由です。

ドラム型のデメリット

節水ができることで、逆にデメリットが存在します。
それは洗浄力です。

ちょっと想像すれば分かると思いますが、縦型洗濯機では、洗剤の入った水に衣類がずっと浸かったまま洗濯しますが、ドラム型では、衣類は水の中にずっとあるわけではありません。
必然的に洗剤の洗浄力は落ちてしまいます。

そして、ドラム型では洗剤の洗浄力に加えて、タタキ洗いと言って、衣類を持ち上げて落とすということで洗浄力を高めています。
衣類に対し、縦型と比べてどちらがいいかというところは明らかです。

さらにお客さんから聞く感想として、見過ごされていることがもう一つあります。

それは、前面から衣類を出し入れするのが辛いということです。
ドラム型の場合、その構造上、中腰になったまま衣類を出し入れしなければいけません。
少し斜めにしてある機種もありますが、根本的な解決にはなっていません。

こうした、洗浄力、衣類の傷み、出し入れのしにくさといった点への不満から、ドラム型を購入した人が、次にまたドラム型を購入する比率は半分を切っているという結果が、ある調査で出ています。

このリピート率の低さがドラム型が普及しない最大の要因です。

ドラム型を買った方がいい場合

どちらかというとデメリットばかり説明しましたが、そうしたデメリットがあってもなおドラム型がおすすめな場合もあります。

それは、ほぼ毎回、乾燥機能を使用する場合です。

乾燥に関して言うなら、ドラム型の方が構造上、衣類が傷みにくく、ふんわりと乾燥させることができます。
洗濯とトータルで考えれば、逆に衣類の傷みは縦型より少なくなると思います。

そして洗濯から乾燥するまで使用する場合には、電気代の大半は乾燥機能で消費されます。
ドラム型では、ヒートポンプなどの省エネ機能を搭載した機種が多く、電気代が大きく節約できます。

節水能力も合わせた場合のランニングコストが、乾燥機能を使用する場合には、縦型に比べて圧倒的に優位になります。

洗浄力に関して言うなら、ドラム型の上位機種はほぼ縦型に見劣りしない程度にはなってきました。
(縦型に負けない洗浄力というような表現がカタログなどによくあること自体が、これまで負けていた証拠でもありますが。。)

最後に忠告としてですが、とくにドラム型洗濯機を購入した場合、柔軟剤は使ってはいけません。
使用水量が少ないこともあり、柔軟剤が溶け切らず、軸にこびりつくことにより、洗濯機を故障させます。

洗濯機は自宅での使用用途をよく考えて選びましょう。